エボナイトの特長

弊社製エボナイトの特長です。

絶縁性 非常に高い絶縁性。
あらゆる炭化水素の重合体はすべて絶縁性を持っているが、
エボナイトは特に優秀な絶縁作用をする。
高周波誘電体損失 極めて少ない。無線並に有線用として最適。
遊離硫黄 遊離硫黄は極めて少ない。
耐酸、耐アルカリ性 酸、アルカリなど、薬品に対する抵抗は室温で優れている。
機械的強度 金属に匹敵する硬さ、強さを持つ。
外観 及び 加工性 磨くと黒くつややかな光沢がでる。精密な加工、成型も容易。
吸水性 軟質ゴムに対し、吸水性は著しく小さい。
湿気に対しても抵抗が非常に強い。
そのため湿気を吸収して絶縁性が急に低下することがない。

エボナイトの歴史

【まだまだ不安定だった天然ゴム】
コロンブスが西インド諸島を発見してから、ヨーロッパに持ち込まれた天然ゴムは、19世紀前半にはゴムの持つ弾力や防水性などから、ゴムひもや防水布として市民生活に広く取り込まれるようになりました。
しかし、その品質は劣悪なもので、寒い日には硬くなってひび割れ、逆に暖かい日が続くと柔らかくなり、ベトベトしてしまうのでした。このゴムの劣化と軟化を防ぐための試みが色々となされましたが、チャールズ・グッドイヤー〔米〕の偶然の出来事がきっかけに、問題が解決したのです。

【チャールズ・グッドイヤーのゴム改良へのたゆみない努力!】
チャールズ・グッドイヤー 1820年代の終わり頃からアメリカのフィラディルフィアで金物店を営んでいた、コネチカット州出身のチャールズ・グッドイヤーは、店の経営悪化による多大な負債を「ゴム製品」の可能性にかけていました 。腐敗してしまう点やべとべととしてしまう「粘着性」などの欠点を克服すれば、大きな商機となると見込んでいただからです。
1830年頃から始めた開発は困難を極め、私財を投げ打ち赤貧の中も研究を続け、債権者には何度も訴えられて逮捕・投獄されました。

【偶然から生まれたチャールズ・グッドイヤーの世紀の大発見!】
1839年、 マサチューセッツ州ウォーバーンで一家はどん底の生活をしていました。チャールズ・グッドイヤーはゴムに硫黄と顔料の鉛白(塩基性炭酸鉛)を混ぜてストーブの近くに一夜吊るしておきました。すると、のように黒く焼け焦げ、その周りに乾燥して弾力のある褐色の物体が!!理想的な弾力で気温の影響を受けないゴムでした!
これが後に『加硫』と呼ばれる技術の誕生の瞬間だったと言われます。 加硫することによってゴムの弾性が増し、耐温度変化、耐油性、耐摩耗性も数段改良されたわけです。

その後も加熱の具体的な温度や条件を見つけるため、苦労は続きました。極貧生活の中、家族に満足な食事も与えることができず、12人いた子供のうち6人が命を落とす不幸に見舞われたといます。
ついに1844年、加硫の方法を確立して特許を取得しました。

【兄弟ネルソン・グッドイヤーによるエボナイトの実用化】
その後、1851年、ネルソン・グッドイヤーによりエボナイトとしては実用化の域に達しました。ロンドンの万国博覧会に出品したのが最初であるといわれています。

【近代の産業の発展を支えたエボナイト】
この当時、電気が新しいエネルギーとして発見されました。エボナイトが優れた絶縁性を示すことが確認され、絶縁材料として欠かせなくなりました。
電磁気学の基礎を築いたファラデーも、彼の実験ノートに、エボナイトを用いた数々の実験装置のスケッチを残しています。

なおその後も数多くの学者によって改良が加えられ、現在のような優秀なエボナイトとなりました。
エボナイトは19世紀後半から20世紀にかけて、絶縁部品だけでなく様々なものに成型されました。

エボナイトはいわば、近代の右肩上がりに伸びた豊かな生活を支える功労者であったと言えます。

エボナイトの利用例

生活文化の変化の中で使われなくなった道具もあれば、今も現役で活躍しているものもあります。また、分野も多様です。 馴染み深いものから専門分野まで、一部ではありますが列挙します。

昔使われていたもの

    電気のスイッチ
    電話機
    電話交換台の端子盤(ジャック)
    飛行機の操縦桿、高度計の外枠
    蓄音機、レコード、ラジオ
    ダイヤル(操作つまみ)
    ボウリングの玉
    カメラのボディ、部品
    電鍵(モールス信号用)
    ワインのコルク抜き
    スポイト(管の部分)

    製図用具

    宝飾品(ブローチなど)
    衣服などのボタン
    バッテリーケース
    潜水艦の敷板

現在も使われているもの

    万年筆
    木管楽器
    楽器のマウスピース
    ギターのネック、ピック
    喫煙具(パイプ)
    量水器部品
    鉄道模型
    リールのハンドル、サイドプレート
    ナイフのハンドル材









   

これらの製造方法は型で成形する方法と、機械加工などで削る、磨くなどして作り上げていく方法とがあります。 両方の製造方法が可能だということも、エボナイトの素材としての特徴と言えるでしょう。

万年筆は職人による手作り製品の一例です。 エボナイト製の万年筆は、ねじの狂いが来ないためインク漏れの心配がありません。一つひとつの工程が手作業で丁寧に作られ、一般に高級万年筆と呼ばれています。
*オンラインショップで販売しています。→下町のエボ屋さん=笑暮屋=Ebonize Your Life!

またエボナイトは、他の樹脂や木材、金属のどれとも違った質感・使用感があります。万年筆はもちろん、楽器、喫煙具などの分野でも、愛好家にはたまらない素材として注目されています。 今後も、お客様のニーズに耳を傾けながら新しい利用方法が開発してまいります。

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